【バレエ物語】ラ・シルフィードの見どころ 原作や作曲者・振付師は誰?レ・シルフィードとの違いは?

バレエ ラ・シルフィードについて

バレエ「ラ・シルフィード」は「ジゼル」「白鳥の湖」と並んで、三大バレエブラン(Blanc=白)と呼ばれている通り、ウェディングドレスのような白くて長い丈のチュチュの衣装を身に着けたバレエ作品です。

スコットランドが舞台である事から、男性はスカートのようなスコットランドの民族衣装「キルト」を身につけて踊ります。このスコットランドの農夫ジェームスが、森の妖精シルフィードに恋をする物語。背中に小さな羽をつけた妖精達による幻想的な世界観と、ポワント(トウシューズ)の技術が融合された作品となってい
ます。



バレエ ラ・シルフィードとレ・シルフィードの違いについて

名前がよく似た作品に「レ・シルフィード」というものがあり、バレエ経験者でもたまにどちらがどっちだっけ?と分からなくなることがあります。ラ・シルフィード(la sylphide)とレ・シルフィード(le sylphides)は作品のイメージも類似していて、どちらも長いチュチュの白い衣装を身に着けて踊ります。そのため、発音が変わって日本に入って来た作品なのかな?とも思われがちなこの二つの作品ですが、全く別の作品です。

単純に言葉だけで見てみると、シルフィードとは、フランス語で「女性の風の精」を意味する言葉。ですので、どちらも風の精が登場する物語となっています。違いは、ラとレになりますが、la(ラ)は単数冠詞で、les(レ)は複数冠詞ですので、ラ・シルフィードは一人の風の精が、レ・シルフィードは複数の風の精となります。でも実際には、ラ・シルフィードにも大勢のシルフ達が登場しますね・・。

物語の違いで観るとラ・シルフィードには、スコットランドの農夫と森の妖精の恋の物語というストーリー展開がありますが、レ・シルフィードには複雑な物語はありません。レ・シルフィードは森の妖精達と詩人が月あかりの元で踊りあかすストーリーで、8曲からなる短い構成となっています。「ショピニアーナ」とも呼ばれ、ショパンの有名なピアノ曲を管弦楽に編集して使われています。「華麗なる大円舞曲」など、バレエファンやピアノファンでなくても耳にしたことのある、ショパンの有名な曲が使用されています。

ラ・シルフィードの原作と作曲家・振付師について

ラ・シルフィードは1832年にパリ・オペラ座で初演されました。この時に主演のシルフィードを演じたのがマリー・タリオーニというバレリーナで、このラ・シルフィードの発表と共に、名前が世に広がりました。そしてこの時、振り付けを行ったのが、マリーの父フィリップ・タリオーニで、音楽はパリ・オペラ座のためにバレエ音楽をいくつか作曲したフランス人のジャン・スナイツホーファでした。




1830年以前のバレエと言えば、ギリシャ・ローマ神話に登場する神や、伝説上の英雄を主題とする事が多かったようですが、このフィリップ・タリオーニにより振付の技法としても内容としても大きな変化を遂げました。ラ・シルフィードの振り付けにも度々登場するポワント(つま先)の技法の発達やガス照明による舞台演出を行えるようになったことで、シルフィードのようなロマン派の作品が生まれるようになりました。

この時、客席で舞台を観ていたデンマークのオーギュスト・ブルノンヴィルは、この作品に感を受け、コペンハーゲンでも上演したいと申し出たが、シルフィード役を踊る事のできるバレリーナがデンマークには居なかったため、直ぐには叶いませんでした。その4年後、ルシル・グラーンというバレリーナがマリーに劣らぬ踊りを見せられる程に成長したため、ヘルマン・セヴェリン・レーヴェンショルドの音楽に乗せて、新たに振付を行いました。曲も音楽も変わり、原作のラ・シルフィードとは異なるものになりましたが、1836年の上演は大成功に終わり、今日までブルノンヴィル版として継承されています。

何故、原作の曲が使えなかったかというと、原曲は音楽使用料が高くて使えなかったからと言われています。お金の問題って、今も昔も変わらずあるんですね。

また、現在残っているタリオーニ版は、1972年にパリオペラ座でピエール・ラコットが再度振り付けをしたものになっています。

ラ・シルフィードの見どころ

ラ・シルフィードのストーリーは、「スコットランドの農夫と森の妖精の恋の物語」と冒頭でお伝えしましたが、実はもう少し複雑で悲しいストーリーです。ストーリーを知る事でより、シルフィードの踊りの儚さを深く味わえると思います。

第1幕

19世紀初頭のスコットランドの農村には、農夫のジェームスが暮らしています。この日は、ジェームスと婚約者エフィとの結婚式当日です。暖炉の傍で眠っているジェームスは、美しい風の妖精が踊る夢を見ています。すると突然、シルフィードが現れジェームスにキスをします。キスに驚き目を覚ましたジェームスは、さっきまで夢で見ていた妖精が目の前に居る事に驚きます。美しいシルフィードに触れようと手を伸ばしますが、シルフィードはジェームスの腕をかすめて消えてしまいます。

結婚式の準備が進められる中、婚約者のエフィに恋をするグエンを始めとして招待客が次々と入って来ます。人々が新しく誕生する夫婦の門出を祝福し、談笑していると、そこに突如占い師のマッジが登場します。占い師マッジはエフィに「あなたの恋は実るが、相手はジェームスではなくグエンである。」と告げます。エフィはショックを受け、ジェームスは怒りながらマッジを追い出します。

式の準備のため、エフィや人々がその場を出ていくと、ジェームスはシルフィードを探しに行きます。シルフィードが姿を現すと、ジェームスが小さい頃に森に遊びに来たのを見たときからあなたを愛していたと告げます。ジェームスもすっかりシルフィードに心を奪われ、夢の中の妖精と踊ります。そんな姿を目撃したグエンは、エフィに伝えにいくがエフィには全く信じてもらえません。もう一度部屋に戻ってみると、もうシルフィードの姿はありませんでした。

やがて結婚式が始まります。シルフィードも招待客の中に紛れていますが、その姿はジェームスにしか見えません。ジェームスはシルフィードを目で追うばかりに、上の空になり人々からは奇妙な目でみられてしまいます。そして、ジェームスがエフィに結婚指輪をはめようとした時、シルフィードはその指輪を奪い去って逃げてしまいます。ジェームスは、シルフィードの後を追ってその場を去ります。



第2幕

舞台は真夜中の森へと変わります。占い師のマッジは、大きな釜を使いスカーフに呪いをかけています。

夜が明けると、シルフィードと彼女を追ってやってきたジェームスがやってきます。すっかりシルフィードの虜になったジェームスは彼女を抱きしめようとしますが、身をかわされて触れる事さえできません。シルフィードは「私に触れてはいけない」と伝えます。

シルフィードが姿を消すと、マッジがジェームスの前に現れます。シルフィードへの想いが募ったジェームスは、占い師マッジに頼み込み「肩にかけると飛べなくなる」というスカーフをもらい受けます。

マッジがその場からいなくなると、再びシルフィードが現れます。ジェームスが持っている美しいスカーフを気に入ったシルフィード。シルフィードがスカーフに気を取られた隙に、彼女を抱きしめて、それが呪いのスカーフである事も知らず、スカーフを彼女の身体に巻き付けてキスをします。

途端に、シルフィードはもがき苦しみ始め、みるみる背中の羽根がもげて無くなってしまいます。苦しみながらも「私は何も後悔していない」とジェームスに愛を告げ、ついに力尽きてしまいます。

愕然としているジェームスが立ち尽くす森の奥には、幸せそうなエフィとグエンの姿が見え、2人の結婚を祝福する鐘が鳴り響きます。何もかもを失ったジェームスは地面に崩れ落ち、絶望の中息たえるのでした。

ラ・シルフィードのまとめ

ラ・シルフィードの見どころは、なんといっても婚約者エフィの乗り換え力!!笑

結婚式までどれほどの時間が流れたのか分かりませんが、さっきまで占い師に「グエンと結婚する。」って言われて嫌がっていたじゃないですか!

と、まあ、物語にいちゃもんつけても仕方ないので、ちゃんとした見どころを。ラ・シルフィードの作品の魅力は、妖精による透明感と言えるでしょうか。儚い妖精らしさを表した、妖艶な振り付けと表現力です。本当に飛んでいるような、軽やかなジャンプや、ポワントを駆使した踊りは、見ている以上に難しく、上手いダンサー程、人間らしさを1mmも感じられません。

また、2幕のシルフィードとジェームスが森で踊るシーンでは、シルフィードが本当に子どものように純粋で可愛い演技も見どころです。妖精シルフィードにとっては、森に咲く花も水も蝶々も見るもの全てが美しく、池の水を汲んでみたり、飛んでいる蝶々を捕まえて、ジェームスに可愛そうだから放して上げなさいと言われて、直に放してみたりと、そんなやり取りもとても可愛く、楽しめる部分ですね。(難しい技術の部分がなければ、ここだけシルフィードやりたい)

しっとりとしたバレエが好きな方は、是非一度劇場でご覧になってみてください!

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